十二夜の、十二人 その⑩ 横地梢(ヴァレンタイン)
演出家の田野です。
東京の今日は一段と冷え込んでおります。。。
今年一番寒いと感じたかもしれない。。。
『十二夜』の本稽古が始まって、一週間。
事前に想定してたよりも順調に進んでいます。
とはいえ、いまはまだ、全体の方向性を確認する段階。
・・・いま、これ書き始めてふと思いついたんですが、
この先必要になってくるもの、そしてそういえば逆に意識して考えていなかったことは、
(あ、これ、自分への健忘録として書いているのですが、、、)
《アンビバレント》。
だわ。そうだわ。
いくつかの想いに引き裂かれる感覚。そのはざまに佇む感覚。
喜劇のなかにももちろんあるんですよ、それは。
それらが登場人物たちひとりひとりのなかに、誰かとの関係のなかにあるから言葉が生まれるし、
それらが舞台上に様々なレイヤーで編み目を張っているなかから、
観客ひとりひとりが様々な感情的なイメージを描くことができる。
この一週間で見つけた素敵な原石から、まずはこの先、
《アンビバレント》な感覚を掘り出していく作業をしていこうと思います。
うん、それはいいな。それが次の方向性。
ああ、明日は一日稽古がオフになっているのですが、、、いやー。
ほっとするどころか、逆に落ち着かないもんですなあ。。。
いまのところ風邪やインフルエンザの影響はありませんが、
何かしらの症状があるとしたら、「稽古したくてしたくてしょうがない病」かもしれません。
さて。ゆったりとしたペースで進んできました、『十二夜の、十二人』のコーナーです。
今日でようやく二桁、10人目となります。
今回ご紹介するのは、コチラ。
ヴァレンタイン役の、横地梢さんです。
横地さんは、青年団とこまばアゴラ劇場が主催する「こまばアゴラ演劇学校・無隣館」の第一期生。
今回がRoMT初参加です。よろしくおねがいいたします!
そうそう、無隣館と言えば!
青年団若手公演+こまばアゴラ演劇学校・無隣館一期生修了公演と銘打たれた公演、
『南へ』が、本日2月10日、初日を迎えます!!
もちろん横地さんも参加しています。
今回の『十二夜』の出演者ではその他に、伊藤毅、李そじんも出演。
彼らはいずれもAチームで、明日11日が初日となります。
ぜひこちらもご覧いただければと思います。
もちろん、Bチームの公演もお楽しみくださいませ!
公演の詳細は、こちらからどうぞ。
今回の『十二夜』では、道化・フェステの菊池佳南さんもそうですが、
このヴァレンタインを女性が演じる、ということはやっぱりとても珍しいことだと思います。
僕自身はかつてみたことがありません。
この『十二夜の、十二人』は、これまでもわりと正直なところを書いてきているので、
そのルール(?)に従っていきたいと思いますが、、、今回のキャスティングのなかで、
一番最後に決まったのがヴァレンタインの横地さんでしたし、そしてなによりも、
キャスティングを進める段階では、僕自身、“普通に”、ヴァレンタインは男性に演じてもらうつもりでした。
女性に演じてもらうというアイディアなんて、もうまったく、これぽっちも考えてもいなかった。
実際、ヴァレンタインに相応しいと思える何人かに声をかけ、調整していただいたりもしていたのですが、
たまたまスケジュールのことなどで、いずれもうまく折り合いがつかなかった。
そのうちの誰かでも「OK」と言ってくれていたとしたら、、、いま考えてみると、
いやいや。怖いな。ぞっとします。
こういうときばかりは、神様っているのかもしれないなあ、、、と思いますね。都合良く。
そう。どうしてもヴァレンタインだけが決まらず、ほとほと困っていたときに、
たまたま観劇したのが、無隣館の自主公演、濱中企画の『かげろう』という作品で、
これに横地さんが出演していたのでした。
もともと横地さんは、僕が無隣館の皆さんを対象としてシェイクスピアのワークショップを開催した際、
一日参加してくれていて、そのときの感じが結構面白くて、記憶にしっかり残ってたんですよね。
で、『かげろう』という作品を観ながら(素敵な、感動的な作品でした)、
ある瞬間、ふっと降りてきたんですよ(変な言い方ですけど、でもそんな感じだったんだもの)、
「あれ? もしヴァレンタインを横地さんにやってもらえたら、、、
これってパーフェクトアンサーなんじゃねえの?!」、っていう、イメージ。
観劇後、帰宅の途についてから翌日朝までの想像力フルスロットルな感じ、
静かにアドレナリンがでまくり、みたいな感じでしたね。楽しかったなあ。
その後出演のお話を快諾いただいて横地さんに参加してもらえることになり、
そしていまや、これによって今回の『十二夜』における演出上、核となる部分のひとつを、
このヴァレンタインが握ることになりました。
詳しい言及は避けますが、、、ご観劇をぜひ楽しみにしてほしいと思います。
今回、いまのところの稽古ではベテランを中心とする猛者たちがえらく楽しそうにしていて、
キャリア的にもまだ若い横地さん、まだまだ遠慮がちなのかもしれません。
まあ、『南へ』も平行してやってますしね。。。
でも、いえいえ、伸びしろは一番あるともいえるわけですから!
これからどんどん存在感を発揮していってくれるでしょう。
誰よりも僕自身が一番楽しみですが。演出家冥利に尽きる、という感じですよほんと。
というわけで、第10回目は、ヴァレンタインを演じる横地梢さんの巻、でした。